水分補給の話 水分収支を考えよう
2021年08月16日
今回は夏に多発する熱中症予防のためだけでなく、普段から考えるべき水分補給の必要性について、「何を」「どれだけ」「どのタイミングで」摂れば良いのか、体の水分の収支を考えながら話をしていきたいと思います。
体内の水分量はどのくらいか?
体重中に占める水分(体液)の量は、年代別で概ね次のような割合になると言われています。
・子供 70~80%
・成人 60~70%
・高齢者 50~60%
年代による差はあれど、実に人間の体の6~7割が水分で出来ていることになります。
また、年齢とともに体内の水分量が少なくなっていくのは、細胞内の水分の減少が原因で、老化現象のひとつだと考えられています。
生活で失う水分の量
では、人が生活で失う1日あたりの水分の量はどのくらいでしょうか?
年齢、環境、個体差はあるでしょうが、成人男子では概ね次のような値になるそうです。
・尿などによる排出 1300ml/日
・呼吸 400ml/日
・発汗 600ml/日
小計A ・・・ 2.3 L (リットル)
私たちは呼吸によっても水分を排出していますし、発汗のような自覚のないレベルで約600ml/日程度の水分が皮膚の表面から蒸発しています。
これらの量を合計すると、私たちは約2.3 L (リットル)もの水分を毎日体外に排出していることになります。
摂取する(べき)水分の量
次に、人が毎日の生活で摂取する(べき)水分の量はどのくらいでしょうか?
これも年齢、環境、個体差はありますが、成人男子では概ね次のような値になります。
・食事から得る水分 600ml/日
・代謝で得る水分 200ml/日
・自発的に摂る水分 1500ml/日
小計B ・・・ 2.3 L (リットル)
ご飯やおかずなどの食事に含まれる水分だけで、約600 ml/日を補給することができます。
さらに、私たちは食べ物をエネルギーに変換する際に水分(代謝水)を作り出すことができ、その量が200ml/日と言われています。
水分の収支
1日の水分の収支を考える場合、上記の例でいえば
小計A : 失う水分の量 ≦ 小計B : 摂取する水分の量 であれば、計算上収支はOKですが、実際には
小計A :失う水分の量>小計B :摂取する水分の量 の人の方が多いように感じます。
実際、毎日約1.5l(リットル)も水分を摂れているか?と考えると、意識している人以外は中々難しいように思いますが、いかがでしょうか。
体内の水分が不足するとどうなるのか?
では、体内の水分収支がマイナスに傾く(小計A :失う水分の量>小計B :摂取する水分の量)と、どういった現象が起きるでしょうか。
一般的には、体重の約2%の水分が失われると、のどの渇きを覚える、食欲がなくなるなどの不快感に襲われ、運動能力が低下します。
約6%不足すると、頭痛、眠気、よろめき、脱力感に襲われ、情緒が不安定になるそうです。
さらに10%の不足になると、筋肉の痙攣を引き起こし、循環不全、腎不全になる可能性が高まります。
そして、それ以上の不足になると、意識が失われ、20%の不足では死に至る可能性も出てくるそうです。
つまり、体重の数%程度の水分を失うだけでも、熱中症のような状態を引き起こしやすく、重度の場合は命に関わるケースもあるということです。
「何を」「どれだけ」「どのタイミングで」 飲むべきか?
上記の数字を踏まえて、ではいったい「何を」「どれだけ」「どのタイミングで」飲めばよいのか、考えてみましょう。
1.「何」を 飲むべきか
水分補給の基本は水(ミネラルウォーター)で良いと思いますが、麦茶やスポーツドリンクなどのミネラル成分が含まれているものも必要に応じて摂ると良いでしょう。
注意点としては、市販の清涼飲料水は糖度がかなり高いため、大量に飲み続けると、「ペットボトル症候群」といわれる急性の糖尿病を発症するリスクが高まってしまうため、内容や容量には注意が必要です。
また、アルコール飲料やカフェイン濃度の高い飲み物についても注意が必要です。
アルコール、カフェインには利尿作用があるため、体内の水分収支としては排出の方が多くなり、水分補給の目的としてはマイナスになりますし、摂取したアルコールを分解するためには飲酒量の倍の水分が必要になると言われています。
2.「どれだけ」飲むべきか
一日に必要な水分の摂取量の目安は、体重を目安として、本人の体重を30で割った値が必要とする水のリットル数といわれています。
例) 体重が70kgの人の場合は、約2.3 L (リットル)
上記の例(体重70kgの人)でいえば、2.3 L (リットル)のうち、食事や代謝以外の残り1.5 L (リットル)分の水分を自発的に摂る必要がありますが、この必要量を1日6~10回ぐらいに分散して飲むのが理想的です。
例) 200ml × 8回 = 1.6 L (リットル)
3.「どのタイミング」で飲むべきか
水分補給のサイクルは、「起床時」 「食事(3食)」 「入浴前・後」 「就寝前」をベースに、その間の時間帯に隙間がないようにこまめに補給するのが、理想的サイクルといえます。
しかし、ハードな運動をする場合や労働環境によっては、より水分補給が必要なシーンが増えてきますので、その人のライフスタイルに合わせて、不足がないように意識的に補給していく必要があります。
ご参考に
長くなりましたが、適切な水分補給は思っているよりも大切で大変だということをわかっていただけるとありがたいと思います。
当院の過去のブログ記事でも、運動選手の水分補給や経口補水液の飲み方について記載していますので、よければそちらも参考になさって下さい。
>>熱中症に注意‼︎ 水分補給の仕方知っていますか?
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こまめな水分補給を行いましょう。
熱中症予防だけでなく、体調(コンディション)を維持するためにも水分補給は欠かせません。
みひらRクリニックでは、患者様に飲み物を持参いただいて水分補給の協力をお願いしています。
診察やリハビリの待ち時間に、院内で積極的に水分補給を行いましょう。
熱中症に注意‼︎ 水分補給の仕方知っていますか?
2018年07月26日
最近、日本各地で熱中症で倒れたりするだけではなく亡くなる人も出ていますね。
水分補給は、皆さん出来ていますか?
部活動を見に行くと水分補給を摂取する子、ガブガブ摂取する子、摂取が少ない子、いろんな摂取の仕方をしています。
最近では、OS1って飲料水が売られているのもよく見かけますよね。
さて、今回は水分補給についてお話しします。
アスリートの水分量
試合前
- 練習前や試合前後の汗で失う同程度の水分補給が必要です。
- 水分吸収の速度を考慮すると運動の約1〜2時間前に250〜500ml(ペットボトルの半分〜一本)程度の水分を摂取。
- 運動前の水分はアイソトニック飲料のポカリスエットやアクエリアス、アミノバリュー、VAAM、アミノサプリなどが疲労予防や水分補給の点で優れています。
試合中
- 競技中は1時間毎に200ml(コップ1杯半)ずつをこまめに摂取する。
- 運動時には、体液とほぼ同じ等張液であるハイポトニック飲料のポカリスエットのイオンウォーター、ヴァームウォーター、スーパーH2Oなどが胃の通過速度が速く適している。
試合後や合間
エネルギー補給系のエネルゲンなどの飲料物やウィダーinゼリー、エネルギーイン、アミノバイタルゼリードリンク、VAAMゼリー、SAVASゼリーなどが適しています。
アスリートの人は、一般の人以上に注意が必要です。
では、 スポーツをしない日常生活においてはどうするべきか?
日常生活における水分補給の注意点
- 喉が乾く前に水分を摂取する
- 高齢者の方は、温度や喉の渇きに鈍くなっているため1時間や30分にコップ一杯でも摂取するなど心がける
- 尿の色をチェックする
尿の色は、チャートをご覧ください。
色が濃いほど摂取量が少ないため、注意が必要です。
経口補水液OS1
この、飲料水はご存知ですか?
よく、ドラッグストア等で販売されていますよね。
皆さん、どんな時に飲めば良いかご存知ですか?
ボトル等に、摂取のタイミングや量が表示しています。
- 軽度〜中等度の脱水状態時に補給する
- オーエスワンの1日の摂取目安量は右図を参考に脱水状態に合わせて補給
- 薄めたり、何かに混ぜたりすると電解質と糖分のバランスが崩れ、吸収速度にも影響が出るのでそのまま補給してください
- 高血圧や腎臓病、糖尿病の方は、オーエスワンにはナトリウムとカリウムが比較的多く含まれており、また100mLあたりブドウ糖が1.8g含まれていますので、食事指導を受けている方は、かかりつけの医師にご相談ください。
まだまだ暑い夏が続きますので、熱中症にならないように水分補給だけではなく室内であれば温度・湿度にも十分ご注意ください。