FIFAワールドカップ・カタール大会が今年11月に開催予定ですが、その予選もいよいよ佳境に入ってきました。

今回も日本代表のワールドカップ出場決定が期待されるところですが、先日アジア予選をTVで見ていて思ったことがあります。

サッカーボールが、選手の手や腕に触れた時に適用されるファール=「ハンド」の反則は、解剖学的にどこからどこまでの範囲をさすのだろう?と。


せっかくですので、改めてルールを調べてみることにしました。

ハンドとは

「ハンド」は、ボールに手で触れてしまう反則(ファール)のことで、正式にはハンドリング(handling)の略称になります。

名詞の hand(ハンド)=手 ではなく、動詞の handle(ハンドル)=手で扱う が本来の語源ということですね。

では、ファールの対象になる「手」とは、どこからどこまでなのか?「腕」や「肩」は対象ではないのか?という疑問が出てきます。

まず、英単語の定義を考えてみます。

 hand (手):手首から指先まで
 shoulder(肩):肩関節を中心に腕の付け根から首にかけて * 肩甲骨を含める用法もあります
 arm(腕) :肩から手首まで * 手首から先までを含める用法もあります

英語と日本語で範囲のニュアンスが少し異なりますが、おおよそhand(手)とarm(腕)がファールの対象になりそうです。

Tシャツ基準

次に公式ルールを見てみます。

サッカーのルールは、競技規則を統括する国際サッカー評議会(IFAB)により決定され適用されるそうですが、ハンドの取り扱いについても定期的に解釈が変更になっているようです。

直近の2021-22シーズンの競技規則改正でも「ハンド」の反則の解釈が変更になっています。

まず、ボールの接触箇所だけについて見てみると、「脇の下から腕の外側へ線を引き、これより下に当たった場合にハンドとなる」ということが明文化されました。

つまり腕と肩の境界線を、脇の下を基準に判断するということになります。

この基準は、半袖Tシャツの袖のようなシルエットから、一部では“ Tシャツ基準 ”とも呼ばれているそうです。写真1参照


写真1


サッカーボールは結構大きいので、ちょうど三角筋の境目付近にボールが当たった時は判断が難しそうですが・・・

とりあえず解剖学的な判断はできそうです。ひとつ疑問が解消されました。

ルール改正について思うこと

IFABの今回の規則改正では他にも改正のポイントがいくつかあり、その1つとして、

「手や腕にボールが当たったとしても、その全てが反則になるわけではない」という原則が明示されました。

つまり、ボールが手や腕に触れても、その時の状況判断次第で得点となるケースが出てくるということですが、ボールに触れたのが意図的なのか偶然なのかは、主審の判断に委ねられる模様です。

現在、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)が主要大会では導入されていますが、この改正ポイントについては、テクノロジーよりも主審の判断というヒューマンなスキルに裁定を委ねているところがユニークなところです。


ルール改正については、評議会の構成メンバーの判断や技術、時代背景により解釈が変わるものですから、今後もどんどん複雑化するルールに対して疑問に思ったり、モヤモヤした感情を抱くシーンがあると思います。

ファン目線でいえば、わかりやすくて純粋に競技を楽しめるルールが決まることを願いながら、今後もスポーツ(サッカー)観戦を楽しみたいと思います。


本日は浅腓骨神経の下腿中央付近のレベルでの短軸画像を紹介致します。
腓骨筋と長趾伸筋の筋間(深層)に位置する浅腓骨神経が表層に出る様子の画像を添付します。
浅腓骨神経が表層に出て、遠位に向かうと中間足背皮神経と内側足背皮神経に分かれます。



本日は屈筋支帯の超音波画像を紹介致します。
足根管を後脛骨筋腱、長趾伸筋腱、長母趾屈筋腱、脛骨神経、後脛骨動脈・静脈が通ります。
屈筋支帯が表層に位置し、トンネルを形成します。



昨年末から年初にかけて、雪が降り積もる機会が多くありました。

石川県のような雪国では、”雪かき(雪すかし)”が必須の労働になりますが、雪かき後に体の不調に悩まされている方も多いのでは無いのでしょうか?

当院にも雪かきをハードに行った後に、腰や腕の痛みを覚える方が多く来院されます。


雪かき自体は単調な動作ですが、その運動強度は非常に高く、体への負担がとても大きい作業です。一説には、雪かきの運動強度はバドミントンやバスケットボールと同じともいわれています。

ですので、普段運動を行わない人が急に雪かきを行って、腰を痛めたり、体中が筋肉痛になっても不思議ではありません。


今回は雪かき後の代表的な症状である「腰痛」にスポットを当てて、雪かき後になぜ腰が痛くなるのか?その原因と、腰痛になりにくい雪かきの方法をお伝えしたいと思います。

雪かきで腰が痛くなる原因

雪かきの作業は、長時間腰を曲げながら行う動作が多く、また重い雪を持ち上げる動作を繰り返す事で、背中にある筋肉が常に活動し続けます。

これが続くことで、背中や腰部の筋肉が過活動(オーバーユース)を起こし、負荷が限界を超えると筋肉の損傷などが生じ、腰痛となって現れます。

雪かき作業は長時間に及ぶことが多いため、最初は筋肉の違和感程度に感じていたものが、繰り返しの負荷で大きな組織の損傷や痛みへと変わっていくことも良くあります。

それでは雪かきによる腰痛を防ぐためには、どのような事を心がければ良いのでしょうか?

理想的な雪かきの姿勢とは

雪かきによる腰痛を予防するひとつの方法は、「いかに腰に負担のかからない姿勢をつくるか」にかかっています。

雪かきをする際に、下の写真1のような姿勢で行っている人もい多いと思いますが、これはいわゆる" 中腰 "の姿勢で、腰に大きな負担がかかっている状態です。


写真1


腰の負担を減らすためには、下の写真2のように、背中を伸ばして、股関節と膝関節を使う必要があります。

股関節、膝関節を作動させることにより、大腿(太もも)の大きな筋肉を使うことが出来、腰や背中の筋肉を必要以上に使う必要がなくなります。


写真2


この時、背中を伸ばす必要がありますが、下の写真3のように腰を反りすぎると今度は腰の関節を痛める可能性がありますので、トレーニングのスクワットと同じで適度な腰の彎曲(反り具合)を保つ必要があります。

同様にスコップに乗った雪を移動する際には、スコップの先端を上に持ち上げ過ぎずに、胸より低い位置で雪を移動させるように心がけましょう。


写真3


ちょっとした工夫で防げる腰痛

雪かきは重労働ですが、なるべく効率的に行って体に負担を残さないよう作業を行いたいものです。

せっかく雪をどけてキレイになっても、体が不調になってはもったいないですからね。

雪かきの姿勢もちょっとしたコツですが、知っていると必要のない腰痛を予防することができます。

また、雪かき前後にストレッチを行ったり、雪かき作業の合間に十分に休憩をはさんだりする、といった体のケアを行うことも大切です。

たかが雪かきですが、生活や仕事に影響が出ないよう効率的に行っていきましょう。


今後も、ちょっとした工夫で作業が効率的になるような情報を発信していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

理学療法士 小林


本日は三角靭帯の超音波画像を紹介致します。
三角靭帯は前脛距部、脛舟部、脛踵部、後脛距部からなり、各線維を描出致しました。
内側側副靭帯であるため外反を制動します。また各靭帯の位置・走行を考慮すると、足背屈により脛舟部、前脛距部は弛緩し後脛距部は緊張します。底屈時では逆転します。特に脛踵部一番強靭であります(運動療法のための機能解剖学的触診技術より)。
外側側副靭帯よりも損傷の頻度は少ないです。