交通事故の後、しばらくしてから痛みが出るのはどうして?

交通事故に遭遇した時、直後には痛みや不具合を感じなかったのに、何日か経ってから痛みを感じるようになったり、頭痛やめまいなどで体調を崩すケースがあります。

この現象はなぜ起こるのでしょうか?

原因はいろいろと考えられますが、一つには自律神経と呼ばれる神経の作用が考えられます。

体の中で何が起こっているか

事故のような物理的に強い衝撃が体に加わると、人の筋・骨格や軟部組織には強いストレスが生じます。

耐性を超えたストレスは組織に損傷を生じさせ、外傷が生じれば出血に至ることもあります。

本来であれば組織の損傷度合いに応じて、脳が痛みのシグナルを発し、体が緊急状態であることを知らせるはずです。
ところが、あまりに強すぎるストレスは心身を興奮状態に覚醒させ、痛みをあまり感じさせなくすることがあります。

これが自律神経のうち、交感神経といわれる神経が(過剰に)作用している状態です。

自律神経(交感神経)の作用

交感神経が強く作用すると、体は「心拍数、血圧を上昇させる」「瞳孔を拡大させる」など、緊急事態に備えたスタンバイを行います。

また、作用の一つとしてアドレナリンというホルモンを分泌させますが、アドレナリンが大量分泌されると、痛みを感じるセンサー(感覚器)が一時的に麻痺した状態になり、本来感じるべき痛みを感じにくくなります。

格闘技の試合やハードな接触のあるスポーツなどで、選手達が痛みを感じてないかのようにプレー出来るのも、同様にアドレナリンが大量に分泌されているためだと推測されます。

痛みは隠れているだけ・・・

交通事故のような衝撃は、人間にとって命に関わる緊急事態のため、究極の興奮状態が交感神経を優位に働かせ(アドレナリンを大量に分泌させ)、本来感じるはずの痛みを麻痺させてしまうことがあります。

ところが、交感神経の作用はあくまで緊急事態に備えた一時的な作用であるため、興奮状態は長く続くものではありません。

時間が経過し、交感神経による興奮作用がおさまった体は、本来の痛みを感じるようになり、時間差を置いて痛みが発生したような錯覚を起こすことになります。

つまり、事故後に痛みを感じていなかったり、顕著な自覚症状がないからといって、そのままにしておくと、実は体に深刻なダメージを負っていたのに、それが一時的に隠されているだけだったということが考えられるということです。

手遅れにならないためには、どうすべきか

痛みがはっきり現れてから、医療機関を受診した場合、もし受傷部位が大きく損傷していることが判明しても、事故から時間が経過しているため、すぐに行うべきであった対処や処置が遅くなってしまった可能性も考えられます。

ですから、交通事故に遭遇した場合には、適切な検査、診断、治療が行える医療機関(整形外科)に期間を開けずに受診する必要があります。

これは体のためだけでなく、事故の補償手続きや診断書の作成など、後々の手続きのためにも必要な事項です。

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当院は、交通事故の診療にも力を入れて取り組んでいます。

詳細は こちらのページ(>>交通事故について)に記載していますので、よろしければご覧下さい。


交通事故の診療なら、金沢市の整形外科専門医・みひらRクリニックまでご相談下さい。


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