第5回目の成長期のスポーツ障害は、「ランナー膝」(腸脛靱帯炎)について説明させていただきます。

ランナー膝については、過去のブログ記事 

>> ランナー膝(腸脛靭帯炎)になった場合の対処法 

でも、取り上げたことがありますので、良ければ参考にご覧ください。

ランナー膝とは

この疾患の正式名称は腸脛靭帯炎ですが、ランニングをする方によく起きる症状のため一般的にランナー膝とも呼ばれ、ランニング時やランニンング後に膝の外側に痛みが生じます。

膝の外側(腸脛靱帯の付着部)を触ると圧痛を認めます。

陸上の長距離種目やサッカーなど走る量の多い競技の選手によく見られますが、ランナー膝は成人でも起こる症状のため、必ずしも成長期に限定された疾患ではありません。

その原因

大腿(ふともも)の外側に腸脛靭帯という長い靭帯がありますが、この靭帯が運動動作により繰り返し摩擦されて起きる炎症が腸脛靱帯炎です。

ランニング動作でこの靭帯の繰り返しの摩擦が起こりやすいため、部活開始時期や大会前など、ランニング量が増える時期に発症する傾向があります。

治療法について

痛みが強い場合には、患部の安静を優先させて運動量を減少させます。

炎症の進行を抑えるために、アイシングや電気治療などの物理療法を行ったり、湿布などを貼付する方法があります。

また、症状の進行・再発予防のために股関節周囲の筋力強化やストレッチングを継続して行います。


スポーツへの復帰については、運動量を減らして回復の程度を考慮しながらランニング等を行うようにしましょう。
競技に合ったシューズの選び方や足底板(インソール)が効果的な場合もあります。

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マラソン大会に向けての走り込みなどでランナー膝(腸脛靱帯炎)は発症しやすくなります。

ランニング前のウォーミングアップ、ランニング後のクールダウンをしっかり行い、怪我をせずにパフォーマンスを高められるように練習を行いましょう。


みひらRクリニックでは、整形外科医の院長が金沢マラソンのサポートを行うなど、ランニングによる障害に対しても適切な対応ができるよう準備を行っています。

トレーニング方法、ランニングフォーム、シューズの選択など、マラソン・ランニングに関する整形外科的な相談は当院を受診下さい。



第4回目の成長期のスポーツ障害は、「シンスプリント」(脛骨過労性骨膜炎)について説明させていただきます。

シンスプリントとは

シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)は、すねの内側に痛みが起こる障害で、中高生などの成長期に多く発症する傾向があります。

陸上の中・長距離走やサッカーやバスケットボールなど、走る量の多い競技の選手に多く見られます。

※シンスプリントは、すねの内側に縦長に広い範囲で痛みが生じますが、限局した個所に強い痛みが続く場合には疲労骨折の可能性も考慮する必要があります。

その原因

ランニングの量(や質)が急激に増加することで、足関節を踏み込む筋肉や筋膜の繰り返す収縮で、脛骨(すねの骨)の骨膜に炎症が起きるものと考えられています。


ひらめ筋・後脛骨筋・長趾屈筋などの足関節底屈筋のオーバーユース(使用過多)の他にも、偏平足・回内足などの足の形状の問題、足関節の柔軟性の低下・下腿の筋力不足、シューズのクッションや形状の問題、など複合的な問題が考えられます。


シンスプリントになりやすい要因


治療法について

痛みが強い場合には、患部の安静を優先させて運動量を減少させます。

炎症の進行を抑えるために、アイシングや電気治療などの物理療法を行ったり、湿布などを貼付する方法があります。

また、症状の進行・再発予防のために足底、足関節周囲の筋力の強化やストレッチングを継続して行います。


スポーツへの復帰については、運動量を減らして回復の程度を考慮しながら行うようにしましょう。
競技に合ったシューズの選び方や足底板(インソール)が効果的な場合もあります。

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シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)はランニング初心者や走り込み急増の時期に起こり易いスポーツ障害です。

金沢市の整形外科・みひらRクリニックでは、トレーニング方法、ランニングフォーム、シューズなど多方面からの解決方法を考えます。



第3回目の成長期のスポーツ障害は、膝下の痛み「ジャンパー膝」(膝蓋腱炎)について説明させていただきます。

ジャンパー膝とは


膝蓋腱炎、いわゆるジャンパー膝(jumper’s knee)は、膝蓋骨下端の腱付着部付近に炎症が生じるスポーツ障害です。

膝蓋骨(膝のお皿)の下を押すと痛みが出るのが特徴です。

バレーボール、サッカー、ランニングなど、ジャンプやダッシュ、ランニング動作を繰り返すスポーツ選手に多く発症する傾向があります。

その原因


急激な膝の曲げ伸ばしの繰り返しにより、膝を伸ばす腱や筋肉に負荷がかかり、ショックを吸収する役割がある膝蓋腱に小さな断裂や炎症が起こって生じるオーバーユース(使用過多)による障害です。

レントゲンでは膝蓋骨や膝関節の骨折は認められませんが、エコー検査(またはMRI)では筋肉・腱に変性が認められることがあります。

治療法について


軽い痛みなど症状が軽度の場合には、炎症の進行を抑えるために、アイシングや電気治療などの物理療法を行ったり、湿布などを貼付する方法があります。

痛みが運動中だけでなく、普段からあるような場合(症状が中等度から重度の場合)には、一定期間運動を控えて患部の安静を優先させます。


物理療法や湿布貼付などと並行して理学療法士によるリハビリを受け、筋肉の柔軟性向上や筋力の改善をすることで痛みや症状の進行を抑えます。

膝関節、股関節周辺の筋肉(大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋)のストレッチを継続的に行い、柔軟性を向上させて障害の再発を予防する必要があります。

スポーツへの復帰については、症状が中等度から重度の場合には、安静期間(数か月)は無理せず運動を制限する必要があります。

膝のサポーターやテーピングなども患部を補助するのに有効な場合がありますので、方法がわからない場合には受診時にご相談下さい。


股関節周囲筋のストレッチの例


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膝蓋腱炎(ジャンパー膝)は、痛みの程度により、次のように分類します。
軽 症:スポーツの後や歩いた後に痛む
中等度:活動開始期と終わった後に痛む
重 症:活動中や後の痛みで続行困難

軽症であっても痛みがある場合には、まず受診してご相談下さい。スポーツ障害のご相談は金沢市の整形外科・みひらRクリニックまでお越し下さい。



第2回目の成長期のスポーツ障害は、踵の痛み「シーバー病」(セーバー病)について説明させていただきます。

シーバー病とは


シーバー病(Sever’s disease)は、「踵骨骨端症」とも呼ばれ、踵(かかと)の骨の骨端が剥離したり、踵骨軟骨(成長軟骨)に炎症が起こっている疾患です。

シーバー病の発症は、10歳前後の小学校高学年の男児に多いと言われており、ジャンプや長く走ることが多い競技(バレーボール、バスケットボール、野球、サッカー)や、裸足で行う競技(剣道、体操など)を行っている場合に起こり易い傾向があります。


最初は踵の軽い痛みが症状ですが、次第に歩いていても踵を着くと痛くなるため「つま先」で歩くようになります。症状が進行すると、安静にしているときでも踵が痛むようになります。

その原因


骨の強度が弱い成長期(「成長軟骨」や「骨端核」が多く存在する時期)に、過度な運動などでアキレス腱の牽引力が未成熟な踵に過剰な負担をかけることが直接的な原因です。

さらに、偏平足や外反足など足のアライメント(≒配置)異常がある場合には、踵に負担がかかり易くなり、発症しやすくなります。

治療法について


一定期間ハードな運動を控えて、患部の安静を優先させることが中心となります。

炎症の進行を抑えるために、アイシングや電気治療などの物理療法を行ったり、湿布などを貼付する方法があります。

また、症状の進行を防ぐことと以降の予防のために、アキレス腱や足底腱膜のストレッチを継続的に行う必要があります。


スポーツへの復帰については状態を見ながらですが、痛みが軽い場合にはサポーターやクッションのあるシューズで踵への負担をかけない工夫をしながら運動量を調節して行うと良いでしょう。

また、歩くのが困難な程痛みが強い場合には、一定期間運動を休み、患部を安静に保ちましょう。
その際にはリハビリテーションを行い、定期的に状態を確認しながら、徐々にスポーツ復帰できるように状態を戻していきます。

補助的なものとして、足にフィットした靴やクッション性のある踵のパッドなどをアドバイスすることもありますので、気になる方は診察時にご相談下さい。


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お子さんの踵の痛みは何が原因でしょうか。
足のアーチの崩れやシューズのクッションが原因になっていることも考えられます。

小児の成長期のスポーツ障害のご相談は、金沢市笠舞のみひらRクリニックまで。



以前のブログ記事 >> 子どもの成長痛とスポーツ障害の違い では、原因の分からないお子さんの脚(下肢)の痛みについてご説明しましたが、今回からは「成長期のスポーツ障害」として、お子さんの成長期に生じ易い整形外科疾患をいくつか紹介していきたいと思います。


第1回目は、膝の痛みとしてよく例のある「オスグッド病」について説明させていただきます。

オスグッド病とは

オスグッド・シュラッター病(Osgood-Schlatter disease)は、膝のお皿の下あたりの脛骨粗面という部分が突出してきて、痛みを生じる疾患です。

お子さんの成長期(小学校高学年から中学生)に多い疾患ですが、バスケットボールやバレーボールなどジャンプを繰り返す競技やボールをキックする動作を繰り返すサッカーなどをする子どもに多く発症しやすい傾向があります。

その原因

成長期の子どもは筋肉に比べ骨格がまだ未成熟のため、大腿四頭筋などの強い牽引力が脛骨粗面へ繰り返しかかることで、膝下部分に過剰な負荷が生じてこの疾患を発症します。

患部のレントゲンを撮影すると、脛骨粗面の突出や脛骨付着部の骨端軟骨の部分的な剥離が認められます。

治療法について

成長期の一過性の症状ですので、一定期間ハードな運動を控えて患部の安静を優先させれば症状は軽快します。

炎症の進行を抑えるために、アイシングや電気治療などの物理療法を行ったり、湿布などを貼付する方法があります。

また、症状の進行を防ぐことと以降の予防のために、ストレッチを継続的に行い大腿四頭筋の柔軟性を向上させる必要があります。


スポーツへの復帰については、安静期間(数か月)については無理せず痛みを生じない強度で運動を行い、膝のサポーターなどで患部を補助しながら症状が強くならないように気をつけて行って下さい。

痛みが強い場合や長引く場合には、理学療法士によるリハビリテーションをお勧めすることもありますので、医師による整形外科診察を受診するようにして下さい。

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膝の痛みにも原因がいろいろと考えられます。
オスグッド病?膝蓋腱炎?靭帯損傷?半月板損傷?まずは原因を特定する必要があります。

金沢市の整形外科・みひらRクリニックでは成長期のスポーツ障害のご相談も承ります。