本日は円回内筋の筋内腱周囲に低エコーを認めた症例(肉離れ)の超音波画像を紹介致します。
症例は中学生で、スポーツは野球をしており、投球時に疼痛を認めました。
また円回内筋に圧痛を認め、その部位は筋内腱から筋が剥離しているような低エコー像を観察できました(様々な角度で観察はしており、一枚を添付しております)。
テーピングと圧迫目的でサポーターを実施しました。
2週後に再度検査すると、まだ低エコー像を認める部分がありますが、縮小していました。
また圧痛の強さも軽減していました。



本日は腰痛患者の腰椎椎間関節の超音波画像を紹介致します。
伸展時に左側の腰痛を認める症例で、左L4/5の椎間関節に圧痛を認めました。
右側の同レベルには圧痛は認めませんでした。
椎間関節の超音波画像を撮影すると、圧痛のある左の椎間関節(L4下関節突起とL5上関節突起間)に水腫貯留のような所見を認めました。
右側よりも裂隙も開大しているように見えます。
エコーガイド下の触診でも、圧痛を確認できました。




理由のわからない足(下肢)の痛み


「子どもが足の痛みを訴えています。でも原因がわからないんです。」

親御さんからこのような訴えを聞いた場合、どのようなことを考えるでしょうか?


その痛みの原因や因果関係がわかっている場合はわかりやすいですね。

・転倒した、ぶつけた、捻った … etc
・何かの運動やスポーツを行った(行っている)
・痛みのある部分が腫れている、赤くなっている、熱をもっている … etc

しかし、お話を聞いても原因らしきものがなく、レントゲンや検査所見に異常はなく、なおかつクリニックに来た時には痛み自体が既にないケースがあります。

もしかして


様々なケースを想定しなければなりませんが、お子さんの状態は次のような事柄に当てはまらないでしょうか?

・お子さんの年齢が幼児期~児童期(3~12歳)あたりである。
・痛みの訴えが夕方~夜間、朝方に多い。
・痛みの周期が週2回~月1回程度の不定期であり、痛みの持続が数時間以内である。
・痛みを訴える箇所が毎回違うことがある。

これらの条件が重なる場合、お子さんの訴えはいわゆる「成長痛」といわれる症状の可能性があります。

成長痛とは


成長痛とは医学的に確立された疾患名ではなく、「成長期に起こる子どもの足(下肢)の特有の症状や特徴をもつ痛み」の総称です。

つまり、幼児期から思春期に繰り返す下肢の痛みの中で、特に骨や関節などの運動器に治療すべき疾患がない場合の症状の呼び方です。


一方これと比較して、成長期のスポーツ障害として知られる、膝の「オスグッド病」や踵の「シーバー病」などは、はっきりと原因や所見のわかる疾患名であり、成長痛とは本来意味合いが異なるものです。

学校やスポーツの現場などでは、運動をしている子どもに多いこれらのスポーツ障害を「成長痛」として表現することがありますが、正確には違うものです。

成長痛には、どのように対応すれば良いか?


「成長痛」については、いまだにわかっていない部分も多く、対処方法も多岐にわたります。

一般的には成長痛の原因は、日中の疲労や精神的なストレス・不安が痛みの原因になるといわれていますので、親御さんがお子さんと積極的にコミュニケーションを図り、心身ともに安心感を与えてあげることが大切になってきます。

具体的には痛い部分を軽くさすってあげたり、温めてあげたり、湿布をしてあげると良いという報告もありますし、一緒にストレッチをするのもコミュニケーションと疲労回復を図る良い方法です。

まずは整形外科受診を


本当に成長痛であれば緊急性のある状態ではありませんが、実際には治療が必要な疾患の可能性もあり得ます。

まずは整形外科を受診して、お子さんの骨や筋肉などの運動器に問題が隠れていないか確認してみませんか?

画像や検査所見に異常がなければ大きな問題は考えにくいので、ひとまず安心することができます。

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お子さんのその痛みは成長痛でしょうか?スポーツ障害でしょうか?

金沢市の整形外科・みひらRクリニックは、スポーツ障害に限らず、お子さんの下肢の痛みのご相談も承ります。



競歩で日本人選手がメダル獲得!

先般の東京オリンピックをTV観戦された方は多いと思いますが、私もたまたま50キロメートル競歩を見る機会がありました。

結果として日本人選手はこの競技(50km競歩)でメダルを手にすることは出来ませんでしたが、競歩という競技の特性上、骨格が華奢な日本人でも体の使い方やトレーニングの方法次第では世界のトップといい勝負が出来るのではないかと思いました。

実際に20キロメートル競歩では、池田尚希選手と山西利一選手がそれぞれ銀メダルと銅メダルを獲得しました。同種目での日本人選手のメダルは初とのことです。

競歩のルールが、いろいろとすごい

競歩という競技は、かなりユニークなルールを設定していると思います。

まず、歩くということが大前提になっているので、両足が地面から離れる瞬間があってはなりません。短距離走やランニングの走る動作と違って、体が宙に浮いた瞬間があってはダメということです。

これらの禁則事項は「ロス・オブ・コンタクト」や「ベント・ニー」など、競技のルールとして厳格に定められていて、選手のフォームにこれらの違反がないか複数の審判員が常にチェックし、もし違反が指摘されレッドカードが蓄積すると、最悪の場合失格となってしまいます。

「最も過酷な陸上競技」と呼ばれ

この制限された状態で、トップ選手たちは1kmを4分を切るタイムで歩くというのですから、非常に驚かされます。

普段ランニングをされる方ならわかると思いますが、ジョギングで1kmを5分ペースだと結構なスピードだと感じるはずです。

競歩もマラソン(あるいは短距離)などの競技も、「決められた距離を、できるだけ短い時間で到達する」という根本の目的は同じなのですが、競歩はルールとして運動とエネルギーの効率性を排除している点で、他の陸上競技と完全に質が異なります。


このように、競歩は体力的にもルールの厳格さ的にも大変過酷な競技であり、そのハードさから「最も過酷な陸上競技」と呼ばれることもあるようです。

私も以前体育館を競歩でひたすら往復するトレーニングしたことがありますが、わずか10分間で心肺機能も体力もかなり疲労した記憶があります。

燃費が悪い競歩のフォーム

人が歩行する場合、時速7kmの時点から早歩きよりも走ったほうがエネルギーの効率が上がるそうです。

それは、人(や動物)の足にはアキレス腱のようにバネの役割を果たす組織があるためですが、競歩ではこのバネの力をあえて制限するようなフォームにルールを設定しているので、体には非常に過酷で非合理(?)なスポーツといえます。


ちなみにアキレス腱の話でいえば、動物のカンガルーなどは非常に発達した腱を持っていますので、弾むようにジャンプしながら高速で移動することができます。

バネの力を使わず、脚の運びだけで体を前に進める競歩がいかに大変で非効率かを、自動車で例えると「燃費が悪い」ということになります。

自動車などでは、ガソリン1リットル当たりの走行距離(km)を「燃費(燃料消費率)」で表現しますが、競歩は燃費を非常に悪く設定した状態でスピードを競うという、なんとも矛盾した競技だといえます。

競歩をトレーニングのアクセントに

逆に考えると、「燃費が悪い」ということは体力の消耗に比してエネルギー消費が大きいということですので、脂肪燃焼などのダイエット効果を目的として実践するのは1つの方法だと考えられます。

しかし、競歩のフォームは見た目がユニークですので、ウォーキング感覚で気軽に行うには道行く人の目が気になるかもしれませんね。


また、普段のランニングやウォーキングに変化を取り入れる目的で、競歩のようなフォームを取り入れるのは効果的だと思います。
その他にも、普段よりペースを速める早歩きや、少しストライド(歩幅)を広げた大股歩きのようなフォームで歩くのも面白いと思います。


これらのフォームを実践してみると、普段のウォーキングとは運動の強度や使う筋肉が違ってくるので、負荷のかかるポイントや疲労する箇所も異なってきます。

もし普段のランニングやウォーキングが少しマンネリ化していて、トレーニングの変化や刺激を求めているならば、これらの方法もトレーニングの1つのヒントになります。

行った後の体の反応を確かめながら、自分の目的にあったフォームやプログラムを試行錯誤してみてはいかがでしょうか。

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ランニング障害、足の問題、靴(シューズ)の問題など、みひらRクリニックではスポーツ整形に造詣が深いドクターと専門のリハビリスタッフ(理学療法士)が、あなたの健脚を実現するために取り組みます。

金沢市の整形外科で足の問題を解決したい時は、みひらRクリニックまでご相談下さい。


本日は半膜様筋腱の脛骨後面内側顆付着部にて血流集積を認めた症例の画像を紹介致します。
半膜様筋は膝関節伸展制限因子となる重要な組織です。
画像に示すように屈曲位では腱はstraightですが、伸展にて腱が屈折します。
そのため、伸展の際は摩擦ストレスが増大します。完全伸展のためにはこの機能が必要となります。
症例の超音波画像では、腱周囲に血流集積を認め、その部位にエコーガイド下での圧痛も認めます。また骨が不連続に写り、不整も認めます。