腸腰筋のストレッチ
2024年06月08日
腸腰筋のストレッチについて説明します。
詳しい方法は、記事下部の動画に手順がありますので、参考にして行ってみて下さい。
1.構造と機能
腸腰筋は構造的に、大腰筋と腸骨筋という2つの筋肉に分かれています。
大腰筋は、胸椎下部および腰椎から股関節の内側に向かって走行しています。腸骨筋は骨盤の前面から(大腰筋と同じく)股関節の内側に付着しています。
腸腰筋の役割は、主に股関節を屈曲(曲げる)する時に働き、歩行や姿勢維持に大きな役割を担っています。また、大腿骨が固定された状態では、脊柱の運動にも関与します。
2.ストレッチの対象者
腸腰筋は、運動競技での酷使のほか、悪い姿勢を持続したり、骨盤が後傾した状態で歩行を継続すると疲労や過緊張を起こしやすい筋肉です。また、腰痛とも関わりの深い筋肉として知られています。
陸上競技(特にランニングやスプリントなど)の練習後のクーリングダウンや、怪我からの回復(リハビリ)・再発予防のために腸腰筋のストレッチングを行うことをお勧めします。
3.ストレッチの方法・注意点
①ストレッチしたい脚と反対側の脚を前に出します。
②前に出した脚の膝に両手を乗せて、しっかりと体重をかけていきます。
③ストレッチしている側の筋肉(腸腰筋)が伸びるのを感じたら、乗せている腕の力でゆっくり体を起こします。
・30秒間(1セット)を目安に、2~3セット行いましょう。
・反動をつけて行うと筋肉を傷める恐れがあるので、痛みがでないようにゆっくりと行いましょう。
・腰に痛みがある場合は、このストレッチを行うことを控えましょう。
大胸筋のストレッチ
2024年06月07日
大胸筋のストレッチについて説明します。
詳しい方法は、記事下部の動画に手順がありますので、参考にして行ってみて下さい。
1.構造と機能
大胸筋は構造的に、胸の前面に位置しており、鎖骨・胸肋・腹部から上腕骨までの幅広い位置に付着しています。大胸筋は、上半身を形成する筋肉の中で特に大きく強大な力を発揮するため、トレーニングによる筋肥大や代謝の向上が顕れやすく、姿勢にも影響を与える筋肉だといえます。
大胸筋の役割は、肩関節の動きでは屈曲・内転・内旋・水平内転に作用し、日常生活では胸の前で物を持つような動作に関係があります。また肩(関節)を動かす動作をするほとんどのスポーツの動きに関与します。
2.ストレッチの対象者
大胸筋は、日常生活で重いものを多く運んだ時や、野球の投球動作、バッティング動作のような運動を繰り返した時に疲労や過緊張を起こしやすい筋肉です。
また、大胸筋が疲労や過緊張を起こすと巻き肩のような姿勢になったり、肩関節の安定性が低下して痛みや脱臼が発生しやすくなります。
大胸筋を日常的に使用する運動のクーリングダウンや、怪我からの回復(リハビリ)・再発予防のために、大胸筋のストレッチングを行うことをお勧めします。
3.ストレッチの方法・注意点
①腕を横に広げて肘を90度曲げ、前腕部分を柱などの支えになるものに当てます。
②挙げた腕と反対側の脚を1歩前に出します。
③挙げた腕と反対方向を向くように体幹を捩じり、胸の筋肉(大胸筋)が伸びる感覚を感じて下さい。
・30秒間(1セット)を目安に、2~3セット行いましょう。
・反動をつけて行うと筋肉を傷める恐れがあるので、痛みがでないようにゆっくりと行いましょう。
・肩に痛みがある場合は、このストレッチを行うことを控えましょう。
上腕三頭筋のストレッチ
2024年06月06日
上腕三頭筋のストレッチについて説明します。
詳しい方法は、記事下部の動画に手順がありますので、参考にして行ってみて下さい。
1.構造と機能
上腕三頭筋は構造的に上腕の後ろ側に位置しており、外側・内側・長頭の3つの頭を持ちます。長頭の起始(はじまり)が肩甲骨(の関節下結節)、内側・外側頭の起始(はじまり)が上腕骨の後面となり、筋肉の停止(おわり)は、いずれも尺骨の肘頭になります。
上腕三頭筋の役割は、肘の伸展(伸ばすこと)です。特に内側頭は肘伸展の際に単に骨を引っ張るだけでなく肘頭窩に存在する肘頭下脂肪体という組織を引き上げて肘頭が肘頭窩に収まるようにしてくれているため、この部分の機能低下は肘の伸展時の後方痛の原因になりかねません。
また、上腕の後面には橈骨神経が走行し、上腕三頭筋はそこを覆っているため、上腕三頭筋は外的かつ物理的なストレスから橈骨神経を保護しているとも言えます。
2.ストレッチの対象者
上腕三頭筋はオーバーヘッドスポーツなど、繰り返しの投球動作を続けることで疲労が蓄積されてきます。オーバーヘッドスポーツでは肩凝りの方が良く見受けられますが、これは肩甲帯周囲筋である大・小菱形筋、前鋸筋、僧帽筋などの疲労が原因とされており、肩甲帯周囲筋の疲労は肩甲帯の可動性に影響を出します。
上腕三頭筋は肩甲骨に付着部位があるので、肩甲帯の可動性低下はオーバーヘッドスポーツで重要な動作である上腕の回旋時に上腕三頭筋に過度な緊張を与え、結果として肘の内外上顆炎の発生を生じさせる恐れがあります。
そのため、肘の疲労感・障害がある方はもちろん、オーバーヘッドスポーツの練習後のクーリングダウンや、怪我からの回復(リハビリ)・再発予防のために上腕三頭筋のストレッチングを行うことをお勧めします。
3.ストレッチの方法・注意点
①腕を挙げて肘を挙げ、柱などの支えになるものに挙げた腕を当てます。
②挙げた腕と反対側の脚を1歩前に出します。
③前に出した脚にゆっくりと体重を乗せ、挙げた腕(上腕三頭筋)が伸びる感覚を感じて下さい。
・30秒間(1セット)を目安に、2~3セット行いましょう。
・反動をつけて行うと筋肉を傷める恐れがあるので、痛みがでないようにゆっくりと行いましょう。
・肩や腰に痛みがある場合は、このストレッチを行うことを控えましょう。
ストレッチとは何か(総論)
2024年06月05日
運動療法におけるストレッチは、「筋肉」を伸ばす作業になります。
筋肉の末端の多くは骨に付着していて、筋肉が付着している骨は他の骨と「関節」という、つなぎ目を構成しています。
・運動前のストレッチは、筋肉を伸ばすことにより、これから行う運動に必要な関節の可動性(うごきやすさ)を確保します。
・運動後のストレッチは、運動による筋疲労によって失われた関節の可動性(うごきやすさ)を再獲得します。
つまりストレッチは筋肉を伸長することで、関節の動きをよくするものになります。
スポーツ障害の多くは、この関節の可動性が不足しているにも関わらず、競技中に無理に身体を使うことで身体の各部(関節、筋肉)にストレスを与え、それが蓄積することで発生します。
また、アスリートは一般の方に比べるとハイパフォーマンスを要求される場面が多く、そして、競技によってそれぞれ特異的な動き(通常とは異なる動き)が存在しています。その特異的な動きを繰り返し行うことで、可動性の観点から、よく使われる関節とあまり使われない関節がでてきます。
この状態が長期的に続くと、左右差(バランスの偏り)というものが生じ、身体が思うように使えなくなることで、パフォーマンスに大きな影響を与えてしまいます。
この左右差を生まないためにも、ストレッチによって身体をリセットし、常に高いパフォーマンスを出せる身体にする必要があります。
つまりストレッチには「障害予防」と「パフォーマンスの維持向上」の2つの目的があると言えます。