どこからどこまでが、ハンドなのか?
2022年02月04日
FIFAワールドカップ・カタール大会が今年11月に開催予定ですが、その予選もいよいよ佳境に入ってきました。
今回も日本代表のワールドカップ出場決定が期待されるところですが、先日アジア予選をTVで見ていて思ったことがあります。
サッカーボールが、選手の手や腕に触れた時に適用されるファール=「ハンド」の反則は、解剖学的にどこからどこまでの範囲をさすのだろう?と。
せっかくですので、改めてルールを調べてみることにしました。
ハンドとは
「ハンド」は、ボールに手で触れてしまう反則(ファール)のことで、正式にはハンドリング(handling)の略称になります。
名詞の hand(ハンド)=手 ではなく、動詞の handle(ハンドル)=手で扱う が本来の語源ということですね。
では、ファールの対象になる「手」とは、どこからどこまでなのか?「腕」や「肩」は対象ではないのか?という疑問が出てきます。
まず、英単語の定義を考えてみます。
hand (手):手首から指先まで
shoulder(肩):肩関節を中心に腕の付け根から首にかけて * 肩甲骨を含める用法もあります
arm(腕) :肩から手首まで * 手首から先までを含める用法もあります
英語と日本語で範囲のニュアンスが少し異なりますが、おおよそhand(手)とarm(腕)がファールの対象になりそうです。
Tシャツ基準
次に公式ルールを見てみます。
サッカーのルールは、競技規則を統括する国際サッカー評議会(IFAB)により決定され適用されるそうですが、ハンドの取り扱いについても定期的に解釈が変更になっているようです。
直近の2021-22シーズンの競技規則改正でも「ハンド」の反則の解釈が変更になっています。
まず、ボールの接触箇所だけについて見てみると、「脇の下から腕の外側へ線を引き、これより下に当たった場合にハンドとなる」ということが明文化されました。
つまり腕と肩の境界線を、脇の下を基準に判断するということになります。
この基準は、半袖Tシャツの袖のようなシルエットから、一部では“ Tシャツ基準 ”とも呼ばれているそうです。写真1参照
サッカーボールは結構大きいので、ちょうど三角筋の境目付近にボールが当たった時は判断が難しそうですが・・・
とりあえず解剖学的な判断はできそうです。ひとつ疑問が解消されました。
ルール改正について思うこと
IFABの今回の規則改正では他にも改正のポイントがいくつかあり、その1つとして、
「手や腕にボールが当たったとしても、その全てが反則になるわけではない」という原則が明示されました。
つまり、ボールが手や腕に触れても、その時の状況判断次第で得点となるケースが出てくるということですが、ボールに触れたのが意図的なのか偶然なのかは、主審の判断に委ねられる模様です。
現在、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)が主要大会では導入されていますが、この改正ポイントについては、テクノロジーよりも主審の判断というヒューマンなスキルに裁定を委ねているところがユニークなところです。
ルール改正については、評議会の構成メンバーの判断や技術、時代背景により解釈が変わるものですから、今後もどんどん複雑化するルールに対して疑問に思ったり、モヤモヤした感情を抱くシーンがあると思います。
ファン目線でいえば、わかりやすくて純粋に競技を楽しめるルールが決まることを願いながら、今後もスポーツ(サッカー)観戦を楽しみたいと思います。