成長期のスポーツ障害 No.7 腰椎分離症
2021年11月29日
第7回目の成長期のスポーツ障害は、「腰椎分離症」について説明させていただきます。
腰椎分離症自体は、成長期だけに限定された疾患ではありませんが、スポーツを活発に行う10代前半の青少年に起こり易い傾向があります。
腰椎分離症とは
腰椎分離症は、最下部の腰椎(第5腰椎)の椎弓と呼ばれる部分が分離した状態です。
椎弓の後方部分は細く弱いため、スポーツなどの激しい運動の繰り返しで亀裂が入ることがあり、これが進行すると椎体と椎弓が分離する疲労骨折となってしまいます。
多くはスポーツの競技中や競技後に腰痛を自覚しますが、腰痛が軽度であるため放置しておいたことで分離の程度が大きくなってしまうことがあります。
その原因
多くは骨が未発達な成長期(特に中学生頃)に、背中を反らす動作や体をひねる動作を繰り返し行うことで腰椎の後方部分に負担がかかり、腰椎に亀裂が入ると考えられています。
野球、サッカー、バレー・バスケットボール、ラグビー、柔道などの競技で、身体の前後屈や腰のひねり、ジャンプからの着地といった特定方向への動作を繰り返したり、過度な練習が原因となるケースが多いとされています。
治療法について
初期の段階の分離症に対しては、保存的療法を行い、骨癒合を目指した治療を行います。
コルセットを着用して分離部の安静を図り、スポーツを一定期間(状態により3か月~12か月)休むことで、元通りに骨を癒合させます。
並行して電気治療などの物理療法や運動療法によるリハビリテーションを行います。
リハビリは、股関節を中心とした下半身の柔軟性を向上させ、脊椎を支える体幹筋を強化することで腰部へのストレスを軽減させ、腰痛や再度の分離を予防することを目的に行います。
スポーツへの復帰については、医師の判断のもと状態を確認しながら行って下さい。
CTやMRI画像などで骨の癒合状態を確認しながら、復帰時期を検討します。
保存的な治療で完全な治癒が得られる確率が高まりますが、早期に復帰して症状の再発を繰り返す場合も多く見られるため、初期の対応と慎重な復帰時期の検討が重要になります。
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腰椎分離症は、13~14歳のジュニア期をピークに、男子の発症が圧倒的に多いといわれています。
このぐらいの年齢の方で2週間以上腰痛が続く場合には、腰椎分離症を念頭に置く必要があります。
分離症が原因となって、将来的に「腰椎分離すべり症」へと進行する可能性もありますので、心配な方は金沢市の整形外科・みひらRクリニックまでご相談下さい。