本日は大腿骨頭を短軸にて観察した際の画像を紹介致します。
大腿骨頭のすぐ腹側にiliocapsularis musleが観察でき、内側には腸腰筋、やや外側かつ腹側に大腿直筋が観察できます。大腿直筋の腹側には縫工筋、外側には大腿筋膜張筋、背側には脂肪組織、外側かつ腹側には小殿筋が観察できます。



本日は内側広筋に肉離れを起こした症例の紹介を致します。
腓腹筋やハムストリングスに肉離れを起こしたケースは日常でよく遭遇しますが、内側広筋は珍しいです。決定的な受傷機転がなかったそうですが、ランニングを習慣としておられる方でした。
理学療法開始時と11日後の経過の長軸・短軸画像を添付します。
内側広筋の深層では筋線維の損傷を認めませんが、表層部分にて低エコー像、損傷を認めます。この部位に強い圧痛と明らかな筋硬結を認めました。
11日後では、低エコー像の改善がみられます。屈曲可動域も140°から最終域付近まで可能となり、end feelの抵抗感も減少しました。また筋硬結の硬さが緩和し、圧痛が軽減しました。



本日は尺側手根屈筋(FCU)とその周辺組織の超音波画像を紹介を致します。
腕尺関節のやや遠位レベルにて尺側手根屈筋を短軸観察し、上腕頭と尺骨頭を観察致しました。
上腕頭と尺骨頭の間の深層に尺骨神経があり、上腕頭と尺骨頭を結ぶosborne靭帯があります。
上腕頭の橈側に浅指屈筋、尺骨頭の尺側に深指屈筋を観察できます。




第6回目の成長期のスポーツ障害は、「成長期の肘障害」(肘の内側障害、外側障害)について説明させていただきます。

成長期の肘障害とは

肘の内側に出やすい障害と外側に出やすい障害があります。


① 肘内側の障害:上腕骨内側上顆障害  

投球動作などで動かされた筋肉(の腱)が、付着部である肘の内側の弱い成長軟骨(骨端線)を繰り返し強く牽引することで炎症を起こします。

放置すると肘の内側の痛みが徐々に増強し、肘の曲げ伸ばしが困難になる場合や成長軟骨が剥離することもあります。

野球などの投球動作を行う子どもに多い症状のため、別名リトルリーグ肘とも言われます。


② 肘外側の障害:離断性骨軟骨炎    

肘の外側の骨が繰り返し衝突したり、力が加わることで骨軟骨がはがれて起こるのが離断性骨軟骨炎です。

内側の障害に比べて例は少ないですが、これも野球の投球動作で起こることがあるため、外側の野球肘とも呼ばれます。

剥離した(はがれた)軟骨が肘の隙間に挟まってしまうと痛みが生じたり、著しく肘の動きが制限される場合があります。



その原因

成長期の子どもは、大人に比べて骨や軟骨が弱いため、肘の同じ部分に繰り返し力が加わることで痛みが生じたり、関節の動きが悪くなることがあります。

体の出来上がっていない成長期に野球の投球(動作)を過度に繰り返すこと(投げ過ぎ、良くないフォームで投げる、変化球ばかり投げるなど)も、肘障害の要因になり得ます。

治療法について

①、②ともに患部の安静を優先させ、肘を使う運動を休止(減少)させ、痛みが治まってきたら肘を使った運動を徐々に再開していきます。

炎症の進行を抑えるために、アイシングや電気治療などの物理療法を行ったり、湿布などを貼付する方法があります。


②については、競技が野球の場合、一定期間投球を停止する必要があります。期間は剥離の程度により異なりますが、少なくとも半年程度は症状の経過を観察しながら肘の運動(投球動作)を控えます。

ケースによっては剥離した軟骨を手術で除去した方が良い場合もありますが、手術を行うかどうかの判断は症状だけでなく「今後の競技への取り組み方」や「どういう形で競技復帰をしたいのか」といった今後のライフスタイルと照らし合わせながら判断する必要があります。


スポーツへの復帰については、経過の確認が必要ですので医師の判断を仰いでください。

保存的療法と理学療法士によるリハビリを併用して行い、肘の使用頻度、強度、運動のフォーム、体のバランスなどの指導を受けながら徐々に運動復帰を目指します。

運動復帰した後は、怪我の再発がないようウォーミングアップ、クーリングダウンなどの体のセルフケアとパフォーマンスの改善による怪我の予防を心がけましょう。

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今回ご紹介した リトルリーグ肘、離断性骨軟骨炎の他にも、代表的な肘のスポーツ障害として、上腕骨内側上顆炎(野球肘、ゴルフ肘)、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)などがありますが、これらは子どもだけでなく、成人・大人がスポーツをプレーしたり、肘の酷使をしてもなる可能性があるため、今回の成長期のスポーツ障害では省略させていただきます。

過去のブログ関連記事を紹介させていただきますので、よければ参考になさって下さい。

>> 野球における投球数と成長期における障害について

>> 肘が痛いな。テニス肘?スマホ肘?そんな時の対処法


子ども(または大人)の肘のスポーツ障害はみひらRクリニックまで。金沢市笠舞3丁目交差点すぐの整形外科専門クリニックです。



第5回目の成長期のスポーツ障害は、「ランナー膝」(腸脛靱帯炎)について説明させていただきます。

ランナー膝については、過去のブログ記事 

>> ランナー膝(腸脛靭帯炎)になった場合の対処法 

でも、取り上げたことがありますので、良ければ参考にご覧ください。

ランナー膝とは

この疾患の正式名称は腸脛靭帯炎ですが、ランニングをする方によく起きる症状のため一般的にランナー膝とも呼ばれ、ランニング時やランニンング後に膝の外側に痛みが生じます。

膝の外側(腸脛靱帯の付着部)を触ると圧痛を認めます。

陸上の長距離種目やサッカーなど走る量の多い競技の選手によく見られますが、ランナー膝は成人でも起こる症状のため、必ずしも成長期に限定された疾患ではありません。

その原因

大腿(ふともも)の外側に腸脛靭帯という長い靭帯がありますが、この靭帯が運動動作により繰り返し摩擦されて起きる炎症が腸脛靱帯炎です。

ランニング動作でこの靭帯の繰り返しの摩擦が起こりやすいため、部活開始時期や大会前など、ランニング量が増える時期に発症する傾向があります。

治療法について

痛みが強い場合には、患部の安静を優先させて運動量を減少させます。

炎症の進行を抑えるために、アイシングや電気治療などの物理療法を行ったり、湿布などを貼付する方法があります。

また、症状の進行・再発予防のために股関節周囲の筋力強化やストレッチングを継続して行います。


スポーツへの復帰については、運動量を減らして回復の程度を考慮しながらランニング等を行うようにしましょう。
競技に合ったシューズの選び方や足底板(インソール)が効果的な場合もあります。

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マラソン大会に向けての走り込みなどでランナー膝(腸脛靱帯炎)は発症しやすくなります。

ランニング前のウォーミングアップ、ランニング後のクールダウンをしっかり行い、怪我をせずにパフォーマンスを高められるように練習を行いましょう。


みひらRクリニックでは、整形外科医の院長が金沢マラソンのサポートを行うなど、ランニングによる障害に対しても適切な対応ができるよう準備を行っています。

トレーニング方法、ランニングフォーム、シューズの選択など、マラソン・ランニングに関する整形外科的な相談は当院を受診下さい。